要点
- 進出の形は、現地法人(非公開株式会社)、支店、駐在員事務所、既存の会社の買収の4つ。事業をするなら現地法人が一般的です。
- 外資が過半の会社の最低資本金は200万バーツ、外国人事業法の規制業種では1業種ごとに300万バーツ以上。外国人1人のワークパーミットには、払込資本金200万バーツが求められます(BOI 企業を除く)。
- 会社設立は、社名予約 → 基本定款の登記 → 創立総会 → 設立登記の順で、目安は1〜1.5か月。2026年11月1日から、登記はすべてオンラインで受け付けます。
- BOI(投資奨励)を受けると、事業の区分に応じて法人税が3〜8年(最長13年)免除され、多くの業種で外資100%が認められます。
- 法人税は20%(中小企業に軽減税率)、VAT は2027年9月30日まで7%です。
進出の形を選ぶ
| 形 | できること | 主な条件・注意 |
|---|---|---|
| 現地法人(非公開株式会社) | 営業・販売・製造などの事業全般 | 外資過半なら外国人事業法の確認が必要。発起人・株主は2名以上(2023年2月の民商法改正) |
| 支店 | 本社の一部として事業をする | 規制業種なら事業許可(FBL)と資本金300万バーツ。実務ではあまり選ばれない |
| 駐在員事務所 | 情報収集・連絡・品質管理など、売上を立てない活動 | 2017年の省令で事業許可は不要に。商務省事業開発局(DBD)への届出は必要 |
| 既存の会社の買収 | 顧客・従業員・許認可ごと事業を引き継ぐ | 外資規制と名義株の確認が必須。タイM&Aガイドを参照 |
なお、米国企業が使える「米タイ友好経済関係条約」(外資過半を認める)は、日本企業には適用されません。
外資規制と資本金
外国人・外国法人が資本の50%以上を持つ会社は、外国人事業法上の「外国人」です。サービス業の多くは規制業種(第3表)に当たり、外資過半で営むには事業許可(FBL)か、BOI などにもとづく証明書(FBC)が必要です。規制の詳しい内容はタイM&Aガイドの外国人事業法の節にまとめています。
| 場面 | 求められる資本金 |
|---|---|
| 外資が過半の会社 | 200万バーツ以上 |
| 規制業種で事業許可(FBL)を取る | 1業種ごとに300万バーツ以上 |
| 外国人のワークパーミット | 外国人1人につき払込資本金200万バーツ(BOI 企業は対象外)。一般の会社が受け入れられる外国人は原則10人まで |
2026年は、名義貸しを防ぐため、外資50%未満の会社や外国人の取締役がいる会社の設立で、タイ人株主の払込前3か月分の銀行明細などが求められるようになりました。タイ側の株主には、実際に出資してもらう必要があります。
会社設立の手順と期間
- 社名の予約:通常は即日。予約は30日有効です。
- 基本定款の登記:登録料500バーツ。
- 創立総会:定款、取締役、資本金の払込などを決める。
- 設立登記:創立総会から3か月以内。登録料5,000バーツ。
- 設立後の届出:年間の収入が180万バーツに達したら30日以内に VAT 登録。従業員を雇ったら30日以内に社会保険の届出。
社名の予約から設立登記までの目安は1〜1.5か月です(JETRO)。商務省事業開発局(DBD)は、2026年7月1日から設立登記を、11月1日からはすべての登記をオンライン(DBD Biz Regist)だけで受け付けています。外国人の取締役がいると、即日では完了しない場合があります。
BOI(投資奨励)
タイ投資委員会(BOI)の奨励を受けると、税と税以外の恩典が得られます。最低投資額は100万バーツ(土地代と運転資金を除く)です。
| 事業の区分 | 法人税の免除 | 上限 |
|---|---|---|
| A1+ | 10〜13年 | 上限なし |
| A1 | 8年 | 上限なし |
| A2 | 8年 | 投資額の100% |
| A3 | 5年 | 投資額の100% |
| A4 | 3年 | 投資額の100% |
| B | なし(税以外の恩典のみ) | — |
- 外資比率:外国人事業法の第2・3表の事業は、ほかの法律に定めがない限り、外資の比率に制限はありません。第1表の事業はタイ側の51%以上の出資が必要です。業種によって BOI が上限を設ける場合があります。
- 税以外の恩典:土地の所有、外国人技術者・専門家の受け入れ、外貨の送金など。ただし2025年9月1日から、一部の製造業で外資が過半の奨励企業の土地所有が制限されています。
- グローバル・ミニマム課税:連結売上7.5億ユーロ以上のグループには、2025年から上乗せの課税があります。中小企業の多くは対象外です。
ビザとワークパーミット
- 外国人がタイで働くには、ビザ(ノンイミグラントビザ)とワークパーミットが必要です。ワークパーミットの根拠は、外国人就労管理の緊急勅令(2017年、2018年改正)です。
- 2025年10月13日から、電子ワークパーミットが全国で運用されています。
- 一般の会社は、外国人1人につき払込資本金200万バーツが求められ、受け入れは原則10人までです。BOI 企業にはこの資本金の要件がありません。
- 滞在許可の延長では、外国人1人あたりタイ人従業員4人の雇用が求められるとされてきました(JETRO)。根拠の告示は2023年以降に改められているとの情報があり、現在の要件は申請前に確認してください。
税金の基本
| 税 | 内容 |
|---|---|
| 法人税 | 20%。中小企業(払込資本金500万バーツ以下かつ売上3,000万バーツ以下)は、所得30万バーツまで0%、300万バーツまで15%、超える部分は20% |
| VAT(付加価値税) | 7%(地方税込み)。本来の10%を、2027年9月30日まで据え置き |
| 国内の源泉税(主なもの) | 配当10%、サービス料3%、ロイヤルティ3%、法人が受け取る利息1% |
| 日本への支払いの源泉税 | 配当10%、ロイヤルティ15%、利息15%(日タイ租税条約の10%は、銀行・保険会社など金融機関向けに限られる) |
公的な相談窓口
- ジェトロ・バンコク事務所:現地の制度・市場の情報、進出の相談
- 新輸出大国コンソーシアム:海外展開の専門家による伴走支援
- 中小機構 海外展開の相談:無料の相談窓口
- 盤谷日本人商工会議所:在タイ日系企業の団体(会員1,637社、2026年10月)
- 日本政策金融公庫 海外展開・事業再編資金:海外展開のための融資
ACS の支援
Asia Capital Strategies は、バンコクのタイ法人 SIAM ACS CO., LTD. とともに、法人設立、ジョイントベンチャー、会計税務、ビザ・ワークパーミット、採用など、タイで事業を始めるための実務を支援しています。新しく会社をつくるか、既存の会社を買うかの比較から相談できます。
タイ進出支援の内容を見る、またはご相談・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
よくある質問
外資100%でタイに会社を作れますか?
外国人事業法の規制業種(第1〜3表)に当たらない事業なら、外資100%で設立できます。サービス業の多くは第3表に当たるため、外資過半にするには事業許可(FBL)を取るか、BOI の奨励を受ける必要があります。
資本金はいくら必要ですか?
外資が過半の会社は200万バーツ以上、規制業種で事業許可を取る場合は1業種ごとに300万バーツ以上です。さらに、外国人を雇ってワークパーミットを取るには、1人あたり払込資本金200万バーツが求められます(BOI 企業は対象外)。払込の時期は専門家に確認してください。
会社設立にはどれくらいの期間がかかりますか?
社名予約から設立登記までの目安は1〜1.5か月です(JETRO)。事業許可(FBL)や BOI の申請が必要な場合は、その審査期間が加わります。
タイの VAT は何%ですか?
本来の税率は10%ですが、勅令により2027年9月30日まで7%(地方税込み)に据え置かれています。年間の収入が180万バーツに達したら、30日以内に VAT の登録が必要です。
BOI の奨励を受ける条件は?
BOI が定める奨励対象の業種であること、最低投資額100万バーツ(土地代と運転資金を除く)などが条件です。恩典の内容は事業の区分によって変わります。
主な出典
- 外国人事業法(Foreign Business Act B.E. 2542)英訳 ↗
- JETRO「タイ 外資に関する規制」(2025年10月30日更新) ↗
- JETRO「タイ 外国人就業規制・在留許可、現地人の雇用」(2025年10月30日更新) ↗
- JETRO「タイ 会社設立の手続き」(2025年10月30日更新) ↗
- Baker McKenzie(2026年10月1日)DBD の登記の全面オンライン化 ↗
- Tilleke & Gibbins(2017年)駐在員事務所・地域事務所の規制緩和 ↗
- BOI「A Guide to the Board of Investment 2025」 ↗
- Tilleke & Gibbins(2026年1月20日)BOI 奨励企業の土地所有・出資の制限 ↗
- BOI(2025年11月12日)グローバル・ミニマム課税と既存の恩典 ↗
- PwC Worldwide Tax Summaries タイ(法人所得税) ↗
- PwC Worldwide Tax Summaries タイ(源泉税) ↗
- KPMG(2026年9月3日)タイ VAT 7% の2027年9月までの延長 ↗
- 在米タイ大使館 米タイ友好経済関係条約 ↗
- ジェトロ・バンコク事務所 ↗
- 中小機構 海外展開の相談 ↗
このページは一般的な情報の整理です。個別の取引の判断は、最新の法令と、弁護士・会計士など専門家の確認にもとづいて行ってください。内容の誤りにお気づきの場合は、お問い合わせからお知らせください。
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